現代時評《ペンタゴン・ペーパーズ》片山通夫

ご時世柄、とても気になる映画だったので、久々に映画というものを劇場で見た。映画の批評なんて大それたものはできないが、少し紹介したい。

簡単に言うと、報道の自由を時の権力から守ろうとする物語だ。あらすじなどは後程掲載するとして、見ているうちに今現在我が国で起こっている《安倍総理対朝日新聞》のように思えてくるから不思議だ。正確には覚えていないが、ワシントン・ポストの幹部などが、時の大統領や国務長官など、政権の中枢と食事をしたり、ヨットに乗ったりというくだりがあった。まるで、安倍首相と寿司や天ぷらを食べる我が国の大手マスコミの幹部をほうふつとさせ、笑ってしまった。

しかしワシントン・ポストの幹部は、報道の自由を統制し記事を差し止めようとする政府と裁判で戦った。ニューヨークタイムズと一緒になって。そして「報道の自由」を勝ち取ったわけである。この出来事がワシントン・ポストを不動のポジションに押し上げた。

時の政権の走狗とならずに、時の政権を監視するという崇高な使命を忘れたジャーナリストは早晩朽ち果てるだろう。心しておくべきだ。まして、政権の中枢にアクセスできるはずのマスコミの記者たちは!

「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画) 
原題 The Post」

簡単にあらすじを紹介する。
ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国民の間に疑問や反戦の気運が高まっていた1971年。国防省がベトナム戦争に関する経過や客観的な分析を記録し、トップシークレットとなっていた文書、通称“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在をNYタイムズがスクープ。アメリカ初の女性新聞発行人として足固めをしようとしていたキャサリン・グラハム、そしてその部下である編集主幹ベン・ブラッドリーをはじめとするワシントン・ポスト紙の面々は、報道の自由を統制し記事を差し止めようとする政府と戦うため、ライバル紙であるNYタイムズと時に争いながら連携し、政府の圧力に屈することなく真実を世に出そうと決断する―。