現代時評《検察の真価が問われている》片山通夫

「秋霜烈日」という言葉を思い出す。この意味は「秋の冷たい霜と夏の烈(はげ)しい日光。権威・刑罰などが非常に厳しいたとえ」を言う。検察官のバッジに秘められた意味である。

検察の理念に次のようなくだりがある。

1 国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を自覚し,法令を遵守し,厳正公平,不偏不党を旨として,公正誠実に職務を行う。

2 基本的人権を尊重し,刑事手続の適正を確保するとともに,刑事手続における裁判官及び弁護人の担う役割を十分理解しつつ,自らの職責を果たす。

3 無実の者を罰し,あるいは,真犯人を逃して処罰を免れさせることにならないよう,力を尽くして,事案の真相解明に取り組む。

4 被疑者・被告人等の主張に耳を傾け,積極・消極を問わず十分な証拠の収集・把握に努め,冷静かつ多角的にその評価を行う。

素直にこの理念を読んで検察官もしくは検察庁が職務に励めばおよそ「忖度」、「欺瞞」などの入る余地はないと思うのだが、実際はそうではないような印象を受ける。例の「アベトモジャーナリスト」の破廉恥事件もみ消しを見てもわかるはずだ。検察官も人間だ、間違いも起こすというのは単なる言い訳。今、国会で起こっている「財務省の公文書書き換え事件」にも検察の理念に高らかに謳われている「国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を自覚し,法令を遵守し,厳正公平,不偏不党を旨として,公正誠実に」という部分をしっかりと心にとめて職務を全うすべきだ。即座に…。

話は変わる。韓国もしくは韓国人への誹謗中傷、つまりいわゆるヘイトが酷い。特に安倍政権になったこの5年間が酷いと思うのは筆者の間違いかもしれないが、そんな印象を受ける。いわゆるネット上の右翼(=ネトウヨ)思想の持ち主は、ほとんどが匿名での誹謗が顕著だ。そんな中だが先に述べた我が国の検察と韓国のそれとを比べてみたい気がする。

何、簡単なことだ。いいか悪いかはともかく、かの国の歴代の大統領はあまりいい目には合っていない。暗殺されたり逮捕されたり…。中でも朴前大統領に至っては「現職」のま逮捕されたことはご存知の通りだ。まだ未確定ではあるが近々裁判も行われるという。おまけに李 明博(イ・ミョンバク)元大統領にも捜査の手が伸びているという。

検察の手が伸びる韓国の政治が汚いのか、検察が我が国の政治に手を伸ばさないのは政治がきれいなのか?

 今、検察の真価が問われている。